「電磁気学」 コメント

 「電場や磁場をつくるのは電荷と電流であり,その電場と磁場がファラデイの法則とアンペール・マックスウェルの法則を満たすのである.電場と磁場は同時に一体としてつくられる.電場が磁場をつくったり,磁場が電場をつくるという表現は正しくない.」 --- 『電磁気学I』(太田浩一著、丸善物理学基礎コース、2000)の 201 ページから引用 ---
 ここで「AがBをつくる」とは「Aが原因となって結果としてBが生じる」という意味であり、AとBが因果関係にあることを意味する。
 米国の物理教育界では「電場や磁場をつくるのは電荷と電流である」こと、「電場が磁場をつくる」や「磁場が電場をつくる」という表現は適切ではないということはほぼ受け入れられるようになったように思われる。

 なおマクスウェルの方程式は時空間の同一地点、同一時刻の物理量の関係式であり,等号は必ずしも因果関係を意味しない。



 上のような観点から本書の表現の一部は不適切であり、以下のように修正する。
ページ
箇所
不適切な表現
修正、追加
156
3-4行目
空間の各点における磁場の時間変化により,その点に電場が生じることがわかる. この式は空間の各点における磁場(の時間微分)とその点における電場(の回転)との間の関係を与える.
175
1行目
磁場が時間的に変化すると電場が生じる. 磁場が時間的に変化する空間には電場が生じている.
175
2行目
電場が変化したら磁場が生じる 電場が変化している空間には磁場が生じている
177
下から6-7 行目
磁場を求めるときには,変位電流も考慮しなければならない. この式を使うと多くの場合に変位電流を用いて磁場を簡便に求めることができる.
201
8.6節の末尾に追加
ダランベールの方程式によれば,空間の とφは(したがって電場と磁場は) とρを与えると決定される.これは電場と磁場の源が電荷と電流であることを示している.


 最終更新日 : Sept. 24, 2013

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