「身近に学ぶ力学入門」 第２版第１刷の正誤表

　2018年の国際度量衡総会で合意され，2019年5月20日に施行された国際単位系（SI）では，基本的な物理定数（真空中の光速度，素電荷，プランク定数，ボルツマン定数，アボガドロ定数など）を定義定数として，それらが不確かさのない確定した数値になるように基本単位の大きさを決める方式を採用した。
　このSI基本単位の再定義に伴い p.11 の時間，長さ，質量の単位の記述を次のように改訂する。重要な変更点は１kg の定義で，これまでの１kg は国際キログラム原器の質量と決められていたが，新しいSI単位系では質量の単位も物理定数（プランク定数）に基づく定義に変更された。時間の単位１s と長さの単位１m の定義に変更はないが，統一的な表現に変えた。
　時間の単位（ｓ）：
１秒(s)の時間は 133Cs の放出する波長約 3.26cm の電磁波の周波数が 9 192 631 770 Hz （s-1）となるように定義される。
　長さの単位（ｍ）：
1メートル(m)の長さは真空中の光速度が 2.99792458×108 m/s となるように定義される。
　質量の単位（kg）：
１キログラム(kg)の質量はプランク定数が 6.626 070 15×10-34 J s（kg m2/s）となるように定義される。
　なお、定義定数のボルツマン定数は熱力学的温度の単位ケルビンの定義に，アボガドロ定数は物質量の単位モルの定義に，素電荷は電流の単位アンペアの定義に使われる。


　裏表紙見返しの「基礎物理定数およびその他のデータ」の物理定数の値はCODATA（Committee on Data for Science and Technology）1998推奨値だが，CODATA 2018推奨値（2019年5月20日発効）にしたがい，以下のように改訂する（変更のない一部のデータは除外）。
　＊印は定義定数（国際的な合意によって定義された定数）であることを示す。
 　 
物理定数
1998推奨値
2018推奨値
単位
  真空中の光速度  ＊     2.99792458×108    2.99792458×108    m/s 
  万有引力定数    6.673×10-11    6.6743×10-11    N·m2/kg2 
  プランク定数  ＊     6.6260688×10-34    6.62607015×10-34    J·s
  素電荷  ＊     1.60217646×10-19    1.602176634×10-19    C
  電子の質量    9.1093819×10-31    9.10938370×10-31    kg
  陽子の質量    1.6726216×10-27    1.672621924×10-27    kg
  原子質量定数    1.6605387×10-27    1.660539067×10-27    kg
  アボガドロ定数  ＊     6.0221420×1023    6.02214076×1023    mol-1
  気体定数    8.31447    8.3144626    J/(mol·K) 
  ボルツマン定数  ＊     1.380650×10-23    1.380649×10-23    J/K
  理想気体(0℃, 1atm)の体積    2.241400×10-2    2.24139695×10-2    m3/mol


　「地球と太陽と月のデータ」についても，最新の理科年表（2020年版）によると，以下のように改訂されている（変更のないデータも含む）。なお「平均距離」は理科年表の「軌道長半径」である。
 　 
　
第2版の値
最新の値
単位
  太陽の質量   1.989×1030    1.988×1030    kg 
  地球の質量    5.974×1024    5.972×1024    kg 
  月の質量    7.348×1022    7.344×1022    kg 
  太陽の赤道半径    6.960×108    6.960×108    m
  地球の赤道半径    6.378×106    6.3781×106    m
  月の赤道半径    1.738×106    1.7374×106    m
  地球-太陽の平均距離    1.4960×1011    1.4960×1011    m
  地球-月の平均距離    3.8440×108    3.8440×108    m


　その他の訂正
 　 
  ページ 
箇所
誤
正
134
   式 (6.42)    dφ    dθ 



　この他にも間違いを見つけられましたなら下記まで連絡していただければ幸いです。
　Jan. 12, 2020

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